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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

(13)

「コーヒー飲む?」

ベッドから起き上がった裸のアニータ・カリードはシーツを胸に当てて簡易テーブルのほうへ近寄った


まだ横たわっているラルフは「ああ」と応えて、アニータ・カリードの全身を眺めていた


「……やっぱりキミは美しいな」


「なに? ……オバサン好みなの?」


「いや、オレは綺麗な女が好きなんだ!
 キミは宝石のようだ…」


「……汚れた身体よ……」


「オレにはまぶしいよ」


ラルフはマグカップを受け取った


軍の配給品のコーヒーは不味かったが、自販機まで買いに行く気にはならない…


「シーツを降ろして、オレにその身体を見せてくれ」


「なぁに? オバサンの哀れな身体を笑いたいの?」


アニータ・カリードは軽く巻き付けたシーツの結び目を外してストンと床に落とした


アニータ・カリードの全身がさらけ出される


全身は拷問の傷跡が無数に残っている


腕、胸、腹、脚


いたるところに酷い跡が残っている


一部はケロイド状になり皮膚がただれている箇所もあった


アニータ・カリードは隠すことはしない


この汚れた醜い身体を見て、ラルフが引き下がったとしても恨みはしない


これは紛れもなく自分の過去なのだから…



だが


ラルフは再び勢いを取り戻した様子だ

「……また大きくなってる……、まだシ足りないの? アナタ拷問フェチ? それともSMマニアなの?」


「……言ったろ? オレは美しいものが好きなんだ……アニータ・カリード、キミは美しいよ
 まだまだ抱き足らない

 何度でも抱きたいんだ」


「いいわ、何度でも相手をしてあげる
 アナタが飽きるまでね……」


「じゃあ、2人の名を刻んだ墓を用意しておかないとな、老後は静かな場所がいい」


「じゃあインドよりヨーロッパね」


「一緒に来てくれるかい?」


「アナタが私に飽きるまではね」


「年寄りになっても、キミを抱くよ」


「ラルフお爺さんは元気ね」


アニータ・カリードは自らラルフの身体の上に乗り、

指を添えて


埋没させていった……


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