浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第36章 アナハイム・エレクトロニクス〜月の死の商社〜
(2)
狭いシャトルでの長時間の座った姿勢は辛かったが、ようやく月面基地〈グラナダ〉に近づいた
コロニーと全く違う、月の巨大さはとても恐ろしい
影で半分以上が黒く塗りつぶされたクレーターにシャトルは吸い込まれていった
古くから基地を拡張していた月面基地は2つ存在する
ひとつは〈グラナダ〉
そして〈フォン・ブラウン〉
開拓基地から鉱山開発、連邦軍の軍事拠点、そして人類宇宙進出の足がかりを作っていった歴史のある月面の世界…
民間の企業が参入していくなか、軍事産業のメーカー、アナハイム・エレクトロニクスが2つの基地にそれぞれ工場を持つようになって、さらに開発が加速したのだった
「おむつからコロニーまで」
総合商社として拡大を続けてきたアナハイム・エレクトロニクス社は十年前の戦争のあとジオニック社、ハービック社など次々と吸収
今では連邦軍の正規工場よりも巨大なプラントを持つようになり、連邦軍の主要生産まで請け負う勢いだ
その中でも〈フォン・ブラウン工場〉は連邦軍の機体開発をメインに手掛け、
〈グラナダ工場〉は連邦軍の顔色をうかがいつつ民間の需要も請けている一面を持つ
今回シンシアたちが受領しようとしているのは連邦宇宙軍ではなく、亜科にあたる連邦空軍にあたりその中でも大量生産モデルではなく〈あくまで試作機のうちのひとつ〉として捉えられ、正規工場のある〈フォン・ブラウン〉ではなく〈グラナダ〉のほうへ回されていたのだった
この開発時点でも新型機は〈曰く付き〉なのだとわかる
ナオトとシンシアは宇宙港からさっそくアナハイム社の工場へ向かう
「さっきの宇宙港でも思ったんだけど、連邦軍の制服をあまり見かけないね…」
「…そうだね、昔はがっつり連邦軍の軍事基地だったらしいんだけど、今ではアナハイムに乗っ取られたようなものだよ…、おっとあまり大きな声で話す事じゃない、キミもあまりお登りサンにならないように!まわりは友好的な態度に出てくれないかもしれないよ」
「そりゃあ月は初めてだもの!周りを見ちゃうよ! シアは来たことあるの?」
「月は無いなぁ…、E計画そのものはコロニー主体だったし、戦争が始まってからはサイド6のフラナガン機関に移管されたんだ、そのあと地球に降りてオーガスタに回されたからね」
シンシアは遠い目をした…
狭いシャトルでの長時間の座った姿勢は辛かったが、ようやく月面基地〈グラナダ〉に近づいた
コロニーと全く違う、月の巨大さはとても恐ろしい
影で半分以上が黒く塗りつぶされたクレーターにシャトルは吸い込まれていった
古くから基地を拡張していた月面基地は2つ存在する
ひとつは〈グラナダ〉
そして〈フォン・ブラウン〉
開拓基地から鉱山開発、連邦軍の軍事拠点、そして人類宇宙進出の足がかりを作っていった歴史のある月面の世界…
民間の企業が参入していくなか、軍事産業のメーカー、アナハイム・エレクトロニクスが2つの基地にそれぞれ工場を持つようになって、さらに開発が加速したのだった
「おむつからコロニーまで」
総合商社として拡大を続けてきたアナハイム・エレクトロニクス社は十年前の戦争のあとジオニック社、ハービック社など次々と吸収
今では連邦軍の正規工場よりも巨大なプラントを持つようになり、連邦軍の主要生産まで請け負う勢いだ
その中でも〈フォン・ブラウン工場〉は連邦軍の機体開発をメインに手掛け、
〈グラナダ工場〉は連邦軍の顔色をうかがいつつ民間の需要も請けている一面を持つ
今回シンシアたちが受領しようとしているのは連邦宇宙軍ではなく、亜科にあたる連邦空軍にあたりその中でも大量生産モデルではなく〈あくまで試作機のうちのひとつ〉として捉えられ、正規工場のある〈フォン・ブラウン〉ではなく〈グラナダ〉のほうへ回されていたのだった
この開発時点でも新型機は〈曰く付き〉なのだとわかる
ナオトとシンシアは宇宙港からさっそくアナハイム社の工場へ向かう
「さっきの宇宙港でも思ったんだけど、連邦軍の制服をあまり見かけないね…」
「…そうだね、昔はがっつり連邦軍の軍事基地だったらしいんだけど、今ではアナハイムに乗っ取られたようなものだよ…、おっとあまり大きな声で話す事じゃない、キミもあまりお登りサンにならないように!まわりは友好的な態度に出てくれないかもしれないよ」
「そりゃあ月は初めてだもの!周りを見ちゃうよ! シアは来たことあるの?」
「月は無いなぁ…、E計画そのものはコロニー主体だったし、戦争が始まってからはサイド6のフラナガン機関に移管されたんだ、そのあと地球に降りてオーガスタに回されたからね」
シンシアは遠い目をした…