浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第36章 アナハイム・エレクトロニクス〜月の死の商社〜
(7)
一時間後、
ベッドルームに裸でまどろんでいるとヘッドレストの電話が鳴った
ナオトが受け答えをしてから受話器を置いた
「……フロントの人? 何かしら?」
「……ダイアナさんだ、下に来てるって」
ふたりはせっかく弛緩した雰囲気になっていたのに、神妙な顔立ちに戻ってしまったのだった…
「ゴメンゴメン!もしかしてお取り込み中だった? 艶々しちゃって!」
開口一番ダイアナの言葉に、ナオトは赤面して、シンシアはむきになった
「そりゃあ夫婦だもの!セックスもするわよ!」
「機体のレクチャーだけじゃなく、聞きたいことがもっとありそうだったから……」
そうダイアナに言われるとシンシアもそれ以上何も言えなくなってしまった
3人はロビー横の面談スペースで缶コーヒー片手に深いソファーにもたれこんだ
「わたしはサイド6の訓練学校での成績でフラナガン機関に参加したの
そのとき先輩たちの反応テストの結果の中にあなたを見たことがあったの
今日初めて会ったけど、ひとめでわかったわ」
「そのときに〈エターナル計画〉にまで巻き込まれたのか?」
「巻き込まれたわけじゃないわ、自主的に参加を申請したの」
「なぜッ!? あんな人体実験にッ!」
シンシアは思わず立ち上がって大声を出してしまった
それぐらいシンシアからすれば忌まわしい過去なのだ
「……落ち着いて、確かに子供たちを実戦投入することが良いとは思わないわ
ただ私はすでに学生生活も終盤を迎えていたし、貧しい家庭では卒業しても労働コロニーで死ぬまでこき使われるだけ……
自分に適正が合った進路を選択しただけよ
おかげで家庭は維持できたし、弟たちも教育を受けられる経済的余裕も出来たわ
私はあなたのようにネガティブに捉えていないの」
シンシアは苦い想い出だけしか残っていない
同じ被験者たちは次々と脱落していき、能力が満たない者も棄てられていった記憶
脳をいじられ、注射を打たれ、全身ケーブルの配線だらけの子供たち
ガラス越しの別室で大人たちが、動物を見るような目でこちらを覗いている
哀れな光景しかシンシアには無かった…
一時間後、
ベッドルームに裸でまどろんでいるとヘッドレストの電話が鳴った
ナオトが受け答えをしてから受話器を置いた
「……フロントの人? 何かしら?」
「……ダイアナさんだ、下に来てるって」
ふたりはせっかく弛緩した雰囲気になっていたのに、神妙な顔立ちに戻ってしまったのだった…
「ゴメンゴメン!もしかしてお取り込み中だった? 艶々しちゃって!」
開口一番ダイアナの言葉に、ナオトは赤面して、シンシアはむきになった
「そりゃあ夫婦だもの!セックスもするわよ!」
「機体のレクチャーだけじゃなく、聞きたいことがもっとありそうだったから……」
そうダイアナに言われるとシンシアもそれ以上何も言えなくなってしまった
3人はロビー横の面談スペースで缶コーヒー片手に深いソファーにもたれこんだ
「わたしはサイド6の訓練学校での成績でフラナガン機関に参加したの
そのとき先輩たちの反応テストの結果の中にあなたを見たことがあったの
今日初めて会ったけど、ひとめでわかったわ」
「そのときに〈エターナル計画〉にまで巻き込まれたのか?」
「巻き込まれたわけじゃないわ、自主的に参加を申請したの」
「なぜッ!? あんな人体実験にッ!」
シンシアは思わず立ち上がって大声を出してしまった
それぐらいシンシアからすれば忌まわしい過去なのだ
「……落ち着いて、確かに子供たちを実戦投入することが良いとは思わないわ
ただ私はすでに学生生活も終盤を迎えていたし、貧しい家庭では卒業しても労働コロニーで死ぬまでこき使われるだけ……
自分に適正が合った進路を選択しただけよ
おかげで家庭は維持できたし、弟たちも教育を受けられる経済的余裕も出来たわ
私はあなたのようにネガティブに捉えていないの」
シンシアは苦い想い出だけしか残っていない
同じ被験者たちは次々と脱落していき、能力が満たない者も棄てられていった記憶
脳をいじられ、注射を打たれ、全身ケーブルの配線だらけの子供たち
ガラス越しの別室で大人たちが、動物を見るような目でこちらを覗いている
哀れな光景しかシンシアには無かった…