テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第36章 アナハイム・エレクトロニクス〜月の死の商社〜

(10)

基礎訓練を終えて格納庫へ戻ってきた

先に戻っていたナオトがシンシアを出迎える

「お疲れさま、調子良さそうに思えたけど…」


「さすが先輩ね、初めてのファンネルだとは思えないわ、貴女ニュータイプなの?」


明るい2人に対してシンシアはグッタリと疲弊しきっている


「頭が疲れたわ…、わたし急激に老けてない?」


ひと通りの基本操作のレクチャーが終わり、ほぼこれで引き継ぎは終わりとの事だ


「普通数週間かけて実習するものじゃないの?」

「教習所じゃないのよ?パイロットなら実習あるのみよ!」

「もうボクたちはパイロットじゃないよ!」

「トレーナーに転向するんじゃないの?
 退役軍人の定番コースじゃない
 まだ若いし、長く仕事が出来るわよ」


「私はもう若くないけどね」


シンシアは疲れきった表情のまま、あいかわらずの憎まれ口を叩いた




その日はシンシアが疲れ切ってしまい早々に宿泊施設へ戻ることになった


明日はここを発つ予定だ


せっかく月面都市に来たのでナオトが街を見て回りたいと懇願してみたが、シンシアはハイハイと言いながらそのまま起き上がってはこなかった



仕方なくナオトはひとりで月面都市グラナダ観光に出掛けることにするのだった



フロントで道順や観光地を聞いてから街へ繰り出した



グラナダの街は工業団地のエリアと軍事施設、そこから離れた場所に生活エリアが別ドームとなっていて、ロンデニオン・コロニーのような解放感は無く、いかにも月面ドームといった雰囲気で高台から臨む展望エリアは星空を楽しむ場所といった雰囲気だ


すぐそばに宇宙空間があるというのも不思議な感覚だ


ロンデニオンではシリンダー型の内部に街があったため外周モノレールに乗らない限りは宇宙空間を見かけない


グラナダは常に上を見上げると星空が広がっている


ナオトは独りででも来てみて良かったと思い、シンシアも来れば良かったのにと残念がった…






ストーリーメニュー

TOPTOPへ