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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第36章 アナハイム・エレクトロニクス〜月の死の商社〜

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輸送艇シャトルはかなり待たされてから、ようやく格納庫から出れた


宇宙港のレールハンガーに引かれて、狭いギリギリの広さの通路を抜けていく

通路ごしに見慣れぬモビルスーツが見えた

〈ギラ・ドーガ〉


新生ネオ・ジオンの兵器開発は連邦軍には秘密裏にここ月面のグラナダ工場で生産されていたのだ


奥の区画で隔壁が遮断されているようで連邦軍側の発進エリアからは隠されている位置


「こんなところにネオ・ジオンのモビルスーツの工場があるなんて、アナハイムは節操が無いわね」


「ボクらのシャトル受け渡しが連邦軍の非公式だから、こちら側のエリアにまわされたのかも」


「気をつけてね、発進したらまわりは敵だらけよ」


「戦闘は避けたいね、被弾したら大気圏突入が出来なくなる」


ふたりは輸送艇シャトルの操縦席に並んで座っている、後ろには最後までメガネの男が立ち会っている

「もうここまでで良いわよ、このまま管制塔の許可が出たら飛びます」


「そうですね、そろそろ離れましょうか、試作機の運用情報はまたデータ送信しておいて下さい、次の試作モデルの発展に繋がりますので」


「ところで…貴方は〈キサンドリア〉ですか?」

ナオトは気軽に聞いてみた

シンシアは聞き慣れる言葉に首をかしげている


「スペースノイドのほとんどは〈キサンドリア〉ですよ、良い旅を!」


「なに?今の会話?」


「ボクもよくわからないんだけど、スペースノイドはアースノイドと反発しているだろ?
 ネオ・ジオンを支援する団体がいくつもあるらしくて、そのひとつが〈キサンドリア〉だと思うんだけど、あの人の言い方ではもっと大きな枠組みのような雰囲気だったね」


「なんか哲学みたいな問答ね」

「スペースノイド解放を唱えたダイクンは哲学者だっただろう? その意志を残そうとしている人々なのかもね」


宇宙港にはずらりとシャトルや戦艦が並んでいた


一般の輸送船が多く見られる
高速道路のサービスエリアにトラックがたくさん並んでいるような光景だ


管制塔から番号が呼ばれ、ふたりの乗るシャトルはグラナダから飛びたった…


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