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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第8章 ~キアラ~

シンシアもナオトも見た目は幼く見えるのでハイスクールの生徒に見えなくはないだろう

さらに涼しげなワンピースに大きな麦わら帽子をかぶったシンシアは、ヨーロッパから観光に来たお嬢様にすら見えるかもしれない

美しい金髪のロングヘアーをハラリと落として、悲しみの少女を演じて見せていた

「最近のこと?団体部屋は前から居座ってる人ばかりだから急患なら個室のほうかしら?女の子はきてないけど、男の子なら・・・・あ、でもあの子はハイスクールじゃなさそうね」

シンシアはありがとう他の病院にもいってみるわ、とその場を離れた

男の子で、ハイスクールのようでハイスクールでは無い、なぜなら・・・・

連邦軍のパイロットスーツ姿だから!ビンゴ!

シンシアは一度外に出ようと病院のフロントを歩き去ろうとしていた

正面からは白衣の女性が歩いてくる

お互い無表情のまますれ違う

けっこう身長が高そうな女医は小柄なシンシアとかなりの身長さがある

すれ違い様にシンシアはハッとした

振り返ると、女医もすでに振りむいていた

「・・・・シンシア・・・・まさか・・・・・そんなッ!」

「・・・ドクター・・・・ドクター・キンバリーッ!」

二人は青ざめた顔で対峙した


シンシアはすぐさま肩から垂らした少女っぽいポーチから小型の拳銃を取り出した

「シンシア・・・あなた、まさかまだ・・・」

「まだ・・・終わってないのよ・・・ドクター!」

二人は暗く渦巻く過去を鮮明に思い出させていた・・・



その頃車イスで移動していたナオトとキアラは病院の裏手にまわって駐車場の日陰にいた

「ナオトッ!次はどぅするのッ!」

キアラはわくわくする気持ちを押さえきれずにまだかまだかとナオトを催促した

「まだまだ、ボクたちの逃避行はこれからだよ、お城の衛兵がお姫さまのキアラを追ってくるからね、こっそり進まないと」

「アハハハ!つかまっちゃう!つかまっちゃう!」

ナオトは少女の冒険ごっこに付き合いながら病院を脱出したあととうするか考えていた

機体を隠すか、もしくは破壊しなければ!

見た目は異様な実験機だが“クラング”自体は南太平洋ガード基地の一般機だ

メモリーを抜き取られるのは容易だろう

そうすると航空記録から浮遊空母のだいたいの位置が探られてしまう!

「軍の工場だな・・・」

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