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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第37章 メテオシュタイン

(7)

ゆうべ泥酔したダイアナを深夜の公園で見捨てずにそばについていてくれていたナオトの顔が浮かぶ


少年のような顔立ちはアジア系だから?

意外と包容力はあるのかな…



深夜の光景か蘇る…


ひときわ大きな爆発


輸送艇シャトルのコックピットが吹っ飛んだ


「あぁ、ナオト……、シンシア……」


輸送艇のボディの天井部がめくれていく


ベリベリベリベリッッッ!!!



装甲ははがれ、あたりに火花、そして炎が大きくなる



すると、中からゆっくりと立ち上がる姿


炎の中から巨人が現れる


「メテオシュタイン!」


腕が伸び、余計な装甲を自らはがしていく


ナオトとシンシアの駆る〈メテオシュタイン〉は輸送艇シャトルの胴体をまるでスノーボードをしていかのように足で押さえ込み、大気の摩擦熱から機体のボディを護っていた


シャトルの胴体は真っ赤に燃えているが、その背に屈んでいる〈メテオシュタイン〉は大して高温にまではなっていないようだ


「な、なんてやつだ!シャトルをシールド替わりにしてる!」


その瞬間、シャトルの〈メテオシュタイン〉がビームライフルを放つ!


まっすぐ伸びた一筋の光はそのままダイアナの機体にまで届き一撃を食らわせた!


たいした被害ではない

しかし微小なキズが大気圏突入では大きな被害になるかもしれない

ダイアナの機体は逆に重力から離れなければならなかった!


「最後に一撃か……、ふふふ……、また宇宙へいらっしゃい、可愛がってあげるから!」



ダイアナは急加速して戦闘宙域から離脱した


ジェガン防衛隊は蹴散らしたし、アクシズは予定通り地球圏まで辿り着けるだろう


作戦は成功だ


ただ、ダイアナ・ギルスベルゲンは勝利を味わえなかった…



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