テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第38章 サイコ・クラングの逆襲

(7)

空に浮かぶ不気味な天体ショー


地上の人々からも天空の小惑星アクシズの姿がしっかり確認できる


そして、その周りの緑色に光る不思議な光景…



それはアクシズのまわりに取り付く〈完成版サイコフレーム〉が分子レベルまで細かいサイコミュ反応に呼応した人々の意識だ


アクシズに取り付いて落下を防ごうと足掻く連邦軍とさらに敵軍てある筈の部隊まで巻き込んで、次々と死んでいく人々の光景は地上からは見えず、その意識に反応した光りだけが見えている……



それは衛星軌道上だけでなく、地上で戦う人々にも影響を与えていく



特に〈プロトタイプ・サイコフレーム〉を搭載した〈プラガーシュ〉、〈プラグ〉、〈サイコフリーゲン〉までも巻き込まれていき、初期の大型デバイスを持つ〈サイコ・クラング〉も同様であった


〈サイコフレーム〉は人々みんなの意識に反応していく…


それは直接的なパイロットたちだけでなく、親しい人たちにも広がっていく



アンジェラとマリコにはナオトとシンシアの姿がふっとすれ違い、


互いに遠くの場所で戦っているアニーカ・カリードとラルフにも、寄り添う感覚がやって来る


ニューホンコンの街では〈グール〉から逃亡したサァシャがクーを求め、


偶然ニューホンコンの宇宙港で列に並んでいたアキラ・ホンジョウ少年にも憧れのソニアの姿がよぎった


「…ソニア…さん?」


「え?何か言ったアキラ?」


「近くにソニアが来てる…!」


母親ミサコの静止を振り切り少年は宇宙港から飛び出した



人の想いはマシーンの操作だけではなく、感受性を高めていけば人とのつながりをさらに強くしてくれる
 〈サイコフレーム〉は強弱こそ有れ様々な人間たちに影響を与えていくことになってしまった…



ストーリーメニュー

TOPTOPへ