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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第38章 サイコ・クラングの逆襲

(9)

崩壊したビルの瓦礫の隙間


コックピットから這い出たソニアは路上に投げ出され泥だらけになりながら〈プラグ〉から離れた

被弾場所によっては機体が爆発してしまうかもしれないし、敵機に見つかれば格好の標的にされてしまう


幸いにも爆発も標的にもならなかったが陰になる場所に逃げ込もうとするが、もう体力も気力も尽きかけている



ああ、ここで死んでしまうのか……



止血することも出来ず意識も朦朧となりながら、このまま失血死してしまう想像をしていたとき


懐かしい顔が現れた


横たわったソニアに近付いた人影


幼い少年



アキラ・ホンジョウ



インドのスリナガルの街で出逢った民間人



「……ソニアさんッッ!?」



「……アキラくん、どうしてこんなところに…」



その言葉を発っしたあと


ソニアは昏倒してしまった……



路上の流血を手掛かりにノマが駆けつけたときアキラが両手でソニアの傷口を押さえているときだった



ノマが〈プラガーシュ〉に戻り医療キットを手にして戻ったとき、アキラが遠くに目を凝らしている


「なに?どうしたの?」


「…誰か…居ます」



ノマもその方向を眺めてみるとラフなシャツにジーンズ姿の男性がフラフラ歩いている



ザンバラ頭で何ヶ月も髪を整えていないのも怪しい風貌だが、それよりも靴も履かず裸足で歩いていることがその男の異常性が見て取れる


ノマはアキラに瓦礫の隙間に行くよう無言で促す


徘徊するクー・ヴァン・クー


ノマは拳銃を構え身を隠す



近くまで歩み寄って来られたとき横顔から表情がわかる



ボサボサな前髪から覗く顔立ちはまだハイスクールの生徒ぐらいの年齢に見えるのが意外だ


ただし目つきは野獣のように鋭い


フラフラと歩いているように見えて、何かの目的を持って進んでいるようだ



コイツはなにか危ない雰囲気だ!



ノマは身の危険を感じるのだった…



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