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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第38章 サイコ・クラングの逆襲

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移動要塞〈グール〉では弔い合戦の誓いを立てていた


クリストファーの〈サイスクロー〉が討たれて気を落とす者や、怒りに打ち震えている者

また司令官アースラが出撃したものの、ろくな戦果をあげずに回収された事が皆からの求心力を低下させていたのだ


弟を失ったマイケルは哀しみと怒りをぶちまけていた


「姐サンはダメだ、奴の性の虜になっちまって腑抜け状態だ
 宇宙ではネオ・ジオンも失墜してアクシズ落とし作戦は連邦軍に抑えられちまった
 宇宙も地上も連邦ペースなのが腹立たしい!
 まるで弟の死がムダ死にのようになっちまった!」


単に〈サイコ・クラング〉を奪還されただけでなく、妙に連邦側のほうに歩があるのは司令官がただのオンナに成り下がってしまったからだとでも言いたげだ


「オレの生き方は姐サンとは方向性が違うようだ、遅かれ早かれこうなる運命だったんだ!」


マイケルは弟の死を慈しみながら、なにか深い決意をしたようだった…



また同じ頃、浮遊空母〈キュール・シュランク〉のブリーフィングルームでも艦長ハンセンと4人の隊長が〈アクシズ落とし〉阻止の報告を受けていた



「ロンド・ベル部隊の活躍で2つ目の小惑星落下は免れた…、こちら側も化け物〈サイコ・クラング〉を奪還出来たのは皆のおかげだ」


「それであの緑色の光りの正体はわかったんですか?」


「おそらく〈サイコフレームの共振〉ではないかと推測されている、我々の部隊も〈プロトタイプ〉とは言えたくさんの試料があるからな

 それらが具体的にどのような反応があるのか今後の調査次第だろうが、ロートルの私から言わせればオカルトだよ」


「俺もオカルト話しには興味無いが、現実的には〈サイコ・クラング〉の処理だ、はやくキメちまわないと!」


「それもそうだが、すぐに奴らは追ってくるぞ」


「そうだ、奪い返して来るのは明白だ、逆にそれが罠にもなる」


いよいよ最終決戦が近付こうとしてきたことをヴァイカートやラルフは察していた…


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