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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第39章 キュール・シュランク

(3)

「そうですね…、私も早とちりしていたみたいです…、ここに残るからといってすぐさま兵隊に成れるわけないのに…」


「そうです、それにチケット二人を同時に取ることも困難になるかもしれませんよ

 別々に地球を離れる事になるかもしれませんし、それが一週間後なのか、一ヶ月後なのか、はたまた一年後なのか…

もしチケットの問題でおひとりしか無かった場合、もちろんどちらかがここに残っていただいても構いません、もう地上には親族の伝手なども無いでしょう?」


「ええ、確かに一枚だけというのは何度かチャンスが有りましたので…、でもそこまでして甘えるわけには…」


「気が引けるようなら仕事を斡旋でもしましょうかね? アナタが残るなら調理場や衛生班に、息子さんが残るのなら雑務全般…掃除からジャガイモの皮むきまでしてもらいましょうかね」


ミサコは色々と手を尽くしてくれる艦長に感謝し、席を立ち上がって泣いてしまった


周りのクルーがヒューヒューと冷やかし始め、ハンセンも照れて、困ってしまった…



その頃


当のアキラはシミュレーションルームに入り浸り、ソニアやアンジェラたちとリハビリ訓練に参加していた


ふたりが訓練を終え、小休憩をとっているとチャンスとばかりに「次はボクだよ!」と模擬コックピットに乗り込んだ



オペレーターのリトケも悪ふざけから始まった子供のお遊びを楽しんでいたが、意外な数値が出て衝撃を受けるのだった


アンジェラも思わずため息が出る


「私もハイスクールの頃からこんな訓練につきあわされたりしたけど、ここまで順応はしてなかったわね……、なんだか落ち込んでしまうわ」


「俺も同意見、絶対気持ち悪くなって吐きまくってる姿を笑ってやろうとしたんだがね…」


「ソニアやノマのそばに居てるだけでニュータイプに成れるなら私もソニアと同室になりたいわ…」


「勘弁してよ!もう私の部屋は埋まってるってば!それよりシミュレーション訓練よりももっとヤバい結果があるのよ」


「なぁにソニア?これ以上はジオンが攻めてきても驚かないわよ」


「このグラフ見てよ、これサイコフレームの反応訓練のときのなんだけど…」


「グラフが数人分並んでるわね、一番高いグラフは誰?アニーカ・カリード?」


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