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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第39章 キュール・シュランク

(6)

その夜、第1部隊の隊長ハンズィと第2部隊の隊長ラルフの“師弟コンビ”はちみちみと酒を呑んでいた


高度をとって飛行している浮遊空母〈キュール・シュランク〉では外は吹きさらしでとても冷たい風だが、周りに見つからずに酒が呑めるのはここぐらいだ


長期の非番でも無い限り、なかなか飲酒を嗜む時間がとれない、いつ緊急出動がかかるかわからないのだ


「…ラルフよ、あれからアニーカ・カリードとは上手くやってんのか? お前が歳上趣味とは聞いてなかったケドなぁ」


「ふふふ、オレも今まで気付かなかったですよ…、インド女がエキゾチックな事も気付かなかったですね
 二人ともオトナなんで…、しょうもない事で喧嘩するような事はありませんし、落ち着いたもんです」


「まぁ、お前はオレと違って真面目だからな…
 オレなら若いねーちゃんがいいな!

 話しは変わるが、当分オレたちはゆっくりさせてもらえないらしい…
 アクシズ落下は止めたものの、フィフス・ルナ落下のおかげでチベット、ネパール、インド北部が壊滅的だろ?

 残された地上の基地も慢性的な人員不足なもんでエリアごとに幾つかの基地を集約させるつもりらしい

担当エリアは広範囲になっちまうが、スタッフが集まれば部隊編成も組みやすくなる

ここも少し前まではオレとシンシアの2つの部隊だけだったのが、今ではお前たちが上がってきて5つの部隊になったろう?


手数が増えたらローテーションも組みやすいからな、地上はそこまで余裕が無いらしい」


「うちらは航空機あがりのパイロットも多いですけど、地上基地はモビルスーツ乗りを探すのがタイヘンそうですね

 それに比べたらこうやって酒を呑めるだけでも有り難いのかな?」


「……まぁ、今回のニューホンコン戦線ではオレたちそんなに出張ってないけどな…」


「……そぉっスね……」


ふたりは落ち込みながら酒を酌み交わした…




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