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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第39章 キュール・シュランク

(9)

アキラが母親と会うためにソニアの部屋から出ていき、ノマとアニーカの二人きりとなった


「私達が二人になるのは久しぶりね」


「ラルフは優しくしてくれますか?」


二人は過去の経験上、男性恐怖症が残っている


「そうね、もともと大人しい人だから…、
 虚勢の張り合いもエゴもないから接しやすいわ、そこは助かっています」


「アニーカが男性とペアになる日が来るとは思わなかったわ、最初部屋を変わるときは驚いたもの!」


「…そうね、今もラルフ以外は苦手ですよ、
 でもインドの抑圧された社会から考えたらここは西洋的で自由があるわ、私も変わらなければと思ったの
 
 ノマはやっぱりソニアと…」


「ええ、ソニアとタオと3人で…、私たちは愛し合っています、お互い支えになっています」


「ノマが満足ならそれでいいのよ、私が抜けてファラが居なくなって、アナタに寂しい思いをさせてしまいました、前から謝ろうと思っていたのです」


「謝る必要なんて無いですよ!確かにラルフの元へ行かれたときは驚きましたし、残された感じがありましたけど、ソニアとタオが積極的に私をフォローしてくれていました
 あの二人が愛し合っているのも知っていましたが、彼女たちは一線を引かずに私ごと受け入れてくれたのです
 ですから私たちはここに来て良かったと思います」


アニーカとノマは抱き合い、涙した


「ところでアニーカ、変なことを聞きますがアクシズが空に見えたとき、戦闘中にファラの声を聞いたのです
 幻聴とは思えませんでした、そのような状況でもありませんでしたし…」



「…私も…、ファラに声を掛けられました

 昔の語らったフィードバックなどでは無く、今のファラの存在意識として、不思議です」


「ファラはまだここの世界に引っ張られているのでしょうか…、まだまだやりたいこともあったでしょうに…」


「あの瞬間、空に緑色の不思議な光りを見ました…、そして私の身体の周り…コックピットも同じような光りに包まれました

 なにかサイコフレームの影響を受けた瞬間だったのかもしれません

 兵器としてのサイコフレーム素材が思念波の力場を形成するのなら、ファラの思念波は常に私たちのそばに居てくれているのかもしれません

 きっと見守ってくれているのです」


「私もそう思います」


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