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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第10章 ~再会~

ブリッジはこの施設の中心近くにあった


「マグリット」



巨大な岩石にミノフスキー・クラフトを取り付けた初期の実験施設



岩は見事に空中に浮かび、自在に進むことが出来た


今ではミノフスキー・クラフトも改良を重ねて何とか大型のモビルアーマーに組み込むぐらいではあるが、当時の技術ではこの要塞のような岩石でしか搭載できなかった


ニューホンコンで暴れた黒いモビルアーマーも、この技術が転用されていたのだろう


巨大な岩石が空中に浮かぶ姿から、いつしかみなマグリットと呼んだ



有名な絵画そのままだった


アレクは数回のセキュリティを越えてブリッジルームへ入っていった



「アレク、きたか」



老人の声は威圧的だった


「報告書の前に直接言っておこうと思ってな」



少年は老人に敬語も使わずぶっきらぼうに答えた



「空域での接触は冷蔵庫〈キュールシュランク〉の存在感だな・・・・」



「ああ、部下にカマをかけさせたが間違いない、地元の空軍ではないな」



「キュールシュランクがこの付近に滞在している、なぜだ」



「俺が知るかよ」



「なぜ我々がこの空域に居る」



「?・・・・マグリットは立ち寄っただけだろ、バリクパパン基地に?」



「そうだ、カリマンタン島にはキンバリーが居てるのでな」



「知ってる、キアラを診させている」



「そのキアラが消息を経ったそうだ」



「なに!?」



アレクは仰天し、怒りの形相になった



「ほう?心が枯れたお前でもまだそんな顔をするのか?」



「茶化すな!なんでキュールシュランクの連中がキンバリーやキアラを知ってるんだ!」



「こんな南国の小さな田舎基地に用などある訳がない、キュールシュランクは何かを嗅ぎ付けたのかもしれん・・・・アレク、バリクパパン基地に迎え!キンバリーと接触しキアラを回収しろ!」



「当たり前だ!」



「状況によっては新型を公にしてもかまわん、どうせ〈クラング・ハイノート〉は接触したのだろう?」



「ああ、テロリストになるつもりはないが回収が困難であれば〈クラング・グロウル〉を使わせてもらう」



アレクは慌ててブリッジを出た





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