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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第10章 ~再会~

アレクは部下のクラング〈ハイノート〉チームに再召集をかけた

帰投したばかりだというのに、また出動とは誰も文句は言わなかった

彼らは軍人ではあるから当然なのだが、それよりも先程の実戦で敵機を取り逃がしたプライドが汚名返上のチャンスと捉えていた


しかし彼らの期待は打ち砕かれた

今回は空戦ではなく、地上基地での捜索、回収を目的としていた


つまりは空域確保のためのバックアップ行動程度であったからだ


回収が困難であれば基地を撹乱させるため攻撃もあり得るとは言うが、自分たちの出番は少なそうだ


ヤンネは文句こそ言わないものの、ふてくされているのは表情でわかった



重要人物の回収作戦が始まった




ちょうどその頃、ヤンはシンシアからの連絡を受けてバリクパパン基地の軍属病院に向かっていた


キュールシュランクへの連絡も済ませた

時間が無い


ハンセン艦長は万が一クラング〈改〉の回収が困難な場合、ナパーム弾を使用して基地ごと焼却廃棄する強引な提案を打ち明けた


クラング〈改〉からの飛行データ、パーツの管理情報からキュールシュランクの関与が公に流出しかねない


いまだ実験部隊のキュールシュランクはバックについている出資企業との直接の関係を露呈してはならない


滷撹されたクラング〈改〉のコックピットの情報はおそらく基地内で解析されているだろう


滷撹機の回収が困難な場合、破壊だけでなく基地そのものを消失させなければならない


今から戦闘が始まる!



こんなときにシンシア隊長は連絡を途絶えて何をやってる!


もう時間が無い


ナオトの捜索は打ちきりだ


クラング〈改〉の回収が可能か、無理なら攻撃目標のマーキングをしなければ!


ちくしょう!

話しが大きくなってるじゃないか!


ヤンは息切れしながら久しぶりの全力疾走で体力の衰えを感じていた


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