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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第11章 ~帰還~

モビルスーツのような四肢にたくさん付けられたバーニアが細かく噴く


そして必要最小限の動きで身をかわしていく


その華麗な動きを見てナオトはダンスを見ているかのようだった



新型機の前に機動戦車が数台現れた


至近距離での直撃は命取りだ


この場を離れても後ろから狙い撃ちされてはたまらない

機動性は低くても射程距離が長い機動戦車は意外と厄介な相手だ



数台の機動戦車は展開していき、新型機は囲まれつつあった



「どうするんだよ…? 飛んでも撃たれるぞ?」



ナオトの心配をよそに、新型機は落ち着いているように見えた



ゆっくり片脚を上げていき、新しい「ダンス」をしようとしていた



途端、その前に機動戦車からの集中砲火が始まった



爆裂!



いや、新型機への被弾ではない


新型機は片脚を軸にしながら背中の大型ブースターを噴かし、回転していた!


まるでターンをしているかのように踊っていた



くるくる回転している姿は美しい


だが背中の大型ブースターからは容赦ない灼熱の炎を上げていた



焼き尽くされる戦車群



「す、スゴイ!」


シンシアの声が響く


「片脚が死んだ」


どうやらそこまでの耐久性は無かったようだ


データ上の数値とは言え、本来の機種のデータを基にしているであろうから、このテクニックは戦場では使えないようだ


炎の向こうのビル影からゆっくりと出てきたのは連邦軍のモビルスーツ「ジム2」だ


それも3機


ゆっくり展開していく人形たち


「なんで味方のモビルスーツを敵に見立てるんだよ?」


ナオトは首をかしげたが、これらも想定すべき訓練なのだろう



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