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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第11章 ~帰還~

地上での接近戦は不利だ



シンシアの声が再び響く


「離脱します」


ブースターを噴かし、真横にスライド移動


それに合わせて敵ジム2も追う


一瞬ビル影の視覚に入った途端



バウッッッ!!と新型機は大空へ舞った



背中の大型ブースターはやはり凄まじい推力のようだ



あっという間に地上の重力から解き放たれていく



そしてよく見るとカタチが変形していた


両足をガバッと開き、翼のように開いている


ブースターからも両翼がひろがっている



これが新型機「シュターム」の飛行形態だった



地上のジム2は攻撃はしてくるものの、その意味はほとんどなかった


見る間に小さくなっていく地上基地



飛行風景のまま、壁のモニターには被弾率や損傷状況、エネルギー残量のパーセンテージが表示されていった


そして画面は真っ黒になった



「お疲れさん!さすが隊長さんだね、もう新型機を自分のモノにしてるじゃないか」


ガラスの向こう、隣の部屋からは一台の丸いシミュレーターの扉が開いた



中から赤と白のパイロットスーツ、シンシアが出てきた



ヘルメットを外すと、髪をまとめてショートに上げた金髪の美少女シンシアが険しい表情をしている



「こんなのではダメだ!耐久性が無さすぎる」


「そう言うなよ、脚は飾りみたいなもんじゃないか」



「いや、接近戦時のバランスのために四肢バーニアがあるハズだが、いざ使うとなると負荷に耐えられない!コンセプトが矛盾している、最悪離脱出来なくなる」


シンシアは怒って部屋を出ていってしまった



おそらく何度も離脱シミュレーションを行っていたのだろう


オペレーターはやれやれといった顔をしていた


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