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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第11章 ~帰還~

それからもゆっくりとした口調でシンシアの語りは続いた


会話にもならず、ただ一方的に思い出を語っている他愛のない独り言なような言葉の数々


ナオトは黙って聞いていた


普段、寡黙な上司なので少しはストレス解消になっているのだろう


新型のシミュレーション訓練のときの苛立ちはかなり収まってきている様子だ



ナオトも不定期な相づちをしながらもシミュレーション訓練のことから話題を離そうと決めていた


「隊長のヴァルキューレは誰が引き継ぐんですか?アンジェラさんですか」


「そうだろうな、副長というのもあるが……

操作の感覚はアンジェラが一番合っているのかな、スピード重視なセッティングだしな」


「アンジェラさんがヴァルキューレのデータで訓練はしてましたけど……、

かなり手こずってましたけどね」



「そうだろうな、元々ヴァルキューレという機体は私のためにセッティングされたフリューゲルスだからな」


「え?隊長個人のために開発された機体ってことですか?

そんなことありますか?」


「何言ってんだ、もともとこの空飛ぶ要塞含めての実験部隊じゃないか、通常の防衛基地とは違うさ

量産型のフリーゲンから始まって、重装備タイプや軽装備タイプ、その他諸々ヴァリエーションの実験でもあるんだ

連邦軍が正規採用するまでに沢山の試作機が検討されるさ

私のヴァルキューレもそのひとつさ」

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