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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第11章 ~帰還~

「……私は……、


空が見えている場所が好きなんだな…


落ち着くんだ



この温室スペースはもちろん、

ほら、ランドリールームにも大きな窓があるだろ



昼でも、夜でも…



空を眺めているだけで落ち着く



何にも考えなくて済んだり…、


音楽を聴いていたり



私にとってはとても貴重な時間だよ」



ナオトはランドリールームで二人でイヤフォンを共有したひとときの時間を思い出した


ジャマじゃなかったのかな…?


それでも、人と接するのを苦手としているのなら、こういった場所の居心地が心地よく感じるのは納得ができるような気がする


ナオトは自分にそんな時間を意識するようなことがあったのか、振り返っていた


この実験部隊だけでなく、かつての地上ガード部隊の頃にも、

当たり前のように捉えてきた自由な時間を

有り難く貴重な時間だと言えることが出来ただろうか?



時間は貴重なのだ、そうだった!


そうなれば、いよいよ自分がここに居て良かったのだろうか?

隊長の貴重な時間を、自分が汚してしまっているのではないだろうか


「えっと、ボク…戻ります」


「……そうか? スマンな、キミにはキミの時間があるよな

また時間があったら私のくだらない話しに付き合ってくれ」


金髪の美少女は目を閉じてリクライニングチェアに身を沈めた



ナオトは立ち上がり、敬礼をしてその温室を後にした


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