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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第13章 〜疾風、シュターム

キュール・シュランクは海上コースの空域を移動しつつ、シンガポールへ向かっていた


補給と重症者の下艦だ


また交戦の記録も報告するらしく、敵機のデータを取り急ぎまとめないといけなかった


シミュレーションルームでは記録された映像がすぐに立体映像化され、


そのまま新たなシミュレーションが可能となっていた


先のパタヤ戦線の記録も全て表示されている


ナオトの模擬コクピットはまるで本物のコクピットの中に座っているよなリアルなものだ


さらにこのときのエネルギー残量や、スロットルの噴かせ加減、高度、スピードもすべてグラフ表示されている


「まぁリラックスして座ってくれよ、別に戦闘訓練するわけじゃない

ケガもしてるだろうからレバーも持たなくていい

ただ画面を眺めながらオシャベリしようぜ」


リトケはマイク越しにスナック菓子をボリボリむさぼってる


本当にラフなものらしい


「とりあえずデータはあるんだけど、搭乗者のコメントが欲しいんだよ、

この場面でこんなこと思った!とか

ここで何かに気付いた!とかさ!」



「わかりました…、何が思い出したらコメントします…」


「とりあえず、マリコの部分は早送りしてっと…」


「ちょっと、リトケさん!止めて下さい

このシーン、ボクがマリコに助けられたところだ」


画面が定速に戻る


少しだけ逆再生


マリコの機体の足元、下方向に敵のクラング・ハイノートと固定砲座が一直線に並んでいる様子だ


このとき、まだ敵は甲板スレスレに近づいてきており、固定砲座からは死角があり、見えてなかったようだ


だが、上空からのマリコ視点では今まさに砲座が狙われている瞬間であることが見て取れた



画面は自動的にズームされる


2つの小さなサブ画面が開く

ひとつは忍び寄る敵機

ひとつは砲座に座るナオトのズームされた姿だ

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