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悪魔的ドクター

第10章 恐怖

震えて暴れて
ヘタに触れない。
近付く事すら出来ない。



「くッ…」



伸ばした手を降ろし
拳を握る。




拒絶されるのは正直ツラい。
今までなかっただけに
結構堪えるな…。



俺がヘタな事をすれば
彼女はさらに悪化する。


医者のくせに
目の前で苦しむ咲桜ちゃんに
何もしてやれない。





それでも…
このままだと危険なんだ。


体もだけど
精神的にも
壊れそうで…怖い。


医者の前に
人間だから…
放っておけないんだ。



「咲桜ちゃん…」



怖がるってわかってる。

それでも俺は両腕を伸ばし
震える咲桜ちゃんの背中に手を回し、その体を自分の方に引き寄せ包み込んだ。



「大丈夫だ。もう怖くない…。落ち着いて…」



出来る限り優しく…
これ以上怯えさせない様に
そっと…背中を擦る。



すると
咲桜ちゃんの震えが少しだけ
和らいできた。



「先生…」



腕の中で
咲桜ちゃんの声が聞こえてくる。




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