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悪魔的ドクター

第3章 病院


――……速水side *。+†*



点滴を替え終わり
もう一度手首で脈を測り
安定した事を確認し
カルテに記入した。



ふと目線を咲桜ちゃんに移すと
落ち着いたらしく
小さな寝息を立てて眠っている。


俺はホッと胸を撫で下ろし
彼女が眠るベッドに腰かけた。




あの時は焦った。

煙草を吸ったと明里ちゃんに聞いた時は、正直激怒したいくらいだった。


あれだけ言ったのに…。

煙草の匂いだけでも悪いのに
まさか吸うとは。



だけど
それ以上に
焦った。


医者が焦るって…ダメだろ。
俺もまだまだだな…。



「まったく…あんまり心配掛けさせるなよ…」



俺は小さく呟き
彼女の額に掛かる前髪に触れた。



「俺は医者なんだから、患者は皆平等。だから…彼女にだけ特別には出来ないよな…」



自分に言い聞かせる様に呟くと
彼女に触れていた手を離した。



すると

…コンコン



病室のドアが開き
看護師が現れた。



「先生、姫宮さんの検査結果が出ました」


「…わかった。すぐ行く」



咲桜ちゃんを見つめたまま看護師に答え、俺は静かに病室を出ていった。





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