テキストサイズ

悪魔的ドクター

第4章 拒否

「気管支炎が悪化したって言えばわかりやすいか?たぶん、3年前くらいから兆候はあったんだと思う」



『3年前から』と聞き
あたしは過去を思い返した。


確かに咳も息切れもあった。
だけど
『気管支が弱いから』って
自分に納得してた。


それはイケナイ事だったの…?



「咳や息苦しさがあった時、どうして病院に来なかったんだ?」


「それは…」



あたしは俯いて答えるのに躊躇った。



『あたしなりに事情とか
いろいろあるの』


なんて言い訳が
先生に通じる訳がない。


きっとどんな理由にしろ
先生の言いたい事は決まってる。



「自分の体の事、ちゃんとわかってるはずだよな?いい加減な気持ちだと、治るものも治らない。治す気あるのか?」



御尤も(ごもっとも)だと思う。

こんな言い方してるけど
医者として心配してるんだってわかってる。


だけど…
今の先生は冷たい目をしていて
それがすごく怖くて
あたしは目を逸らせた。



「ごめんなさい…」



今のあたしには
謝る事しか先生に言う言葉が見付からない。


先生の言う事は確かに正しい。
そもそもこれは
自分の不注意と考えの甘さからの結果なのだから。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ