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悪魔的ドクター

第5章 助け

「先生が来いって言ったから来たんです」


「それでもいいから来てくれて良かったよ」



なんだか素直な先生は
昨日とは違う。


こんな嫌味を言えば
先生は必ず
『お前のために言っているんだ。自分の体を大事にしろ』
って説教するに決まってる。


なのに
こんな素直な先生…変。



「あたし試験が近いから、毎日は通院出来ないんですけど…」



様子がいつもと違う気がしたあたしは、ちょっと我が儘を言ってみた。

こう言えば、きっと先生は
『それでもダメだ。毎日来い』
って言うはず。



だけど
返答は違った。



「悪いな…。大変だと思うけど…毎日様子を診たいんだ。何かあってからだと…遅いから」



やっぱりおかしい。
物凄く優しい言い方だし
笑顔がツラそうに見える。
違和感はこれだったのかもしれない。



「先生…どうかしたんですか?」



あたしが診察されてるのに
逆に先生に尋ねた。



「え?」


「元気ないから…」



だけどその心配を
軽く流されてしまった。



「俺の事より、お前は自分の心配をしろ」



患者は医者の心配しちゃいけないのかな…?

まぁ
先生がそう言うなら…と、
あたしはあまり考えなかった。





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