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baby,just say

第2章 第二話-初めまして-

パパとママが仲良く暮らせますように。

俺は先週叶えた小さな女の子の願いを思い出していた。
小さい子の願いは純粋で愛おしい。

この世に悲しんでいる子が一人でも多く救われますように。

そんな気持ちで毎週毎週様々な子供達の願いを叶えていた。

「横山侯隆。」

その名前の音色に覚えがあった。

「また、辛い道を‥進んでるんやねぇ。」

一日目、午前0時。
住宅街にしんしんと降り積もる雪が周囲の音を吸い取り、辺りは耳が痛い位に静まり返っていた。
俺は横山侯隆の眠る寝室へと移動した。
「うっわ、さっむ!何これ!えーっと、暖房‥だんぼ‥。」
見回していると、ゆっくりゆっくりと玄関の鍵を回す音がして、慌てて俺は姿を消した。
「‥ただい‥うわっ、なんや寒いなぁ!」

村上信五。

横山侯隆の同居人であり、恋人である。

「死んでるんちゃう?生きとるかー?おーい!」

村上はどかどかと寝室へと向かいながら、扉だけは静かに開けた。

「気を使う部分逆やん‥。」

カーテンに寄り添いながら呟くと、まるでその声に反応するかのようにハッと彼は顔を上げる。
こちらから出て来ない限りは人間に見える筈はない。

「ん‥。おか、えり。」
「おん、寝ててええよ。毛布落として‥風邪引くで!」
「ありがと‥。」
「おぉ、風呂、入ってくるわ。ごめんな、起こして。」

何や、仲は良さそうやな。

暫く、勝手に住まわせてもらいます。

俺は心の中で挨拶をした。

一方のすばるはというと、

「俺が、お前をトップの歌手にしてやる。」

丸山隆平、31歳。
下町の小さな音楽レーベル会社所属のフォークシンガー。
仕事は主にデパートや商店街でのライブ、CDとカセットを手売りしている。

今だにカセットを販売してるのは年配層の支持が高いからである。

「あ、お、おまわりさん‥!おまわりさぁーん!」




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