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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

お湯を沸かしてドリップする間、清水は私に背中を向けたままだった。


特にすることがなくて手持ちぶたさな私は、テーブルとベッドの間に挟まれながら座る。


ポジション的にテレビも観れるから、ベッドを背凭れ代わりにしているのが伺えた。


だけど私は両手を膝の上に乗せて、チョコンと正座してしまう。


シンプルな部屋には興味が持てそうな物も、ときめきそうな物もない。


カラーボックスに並んだ専門書は、多分清水が専攻している教科だろうけど、私にはチンプンカンプンそうだ。


他にやることもないから、ガン見していると


「何をそんなに睨んでんだよ?」


両手にマグカップを持って、呆れた顔した清水が見下ろしてきた。


「睨んでないわよ!」


「ほら、コーヒー」


「あ、ありがとう…」


変な言いがかりに反論しかけたのに、めっちゃスルーされてコーヒーを差し出される。


手を伸ばしてカップを受け取ると、コーヒー豆の芳ばしい香りに気持ちが少し和んだ。

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