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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

カチャ――――


鍵が回されドアが開く。


「ほら、入れよ」


「う、うん…お邪魔します」


初めての独り暮らし男子の部屋に緊張感マックスで、思わず畏まってしまう。


ショートケーキ…ショートケーキ…。


否応なしにバクバクする心臓を落ち着かせるために、呪文のように繰り返す。


そうよ私はショートケーキを食べるためだけに、ここに来たんだから!
食べたらとっとと帰るんだから!


別にどうでもいいことなのに、自分の心に言い聞かせる。


「そこ適当に座ってって」


「うん…分かった」


清水部屋は2Kの間取りで、割りかし広く感じた。


部屋にはベッドと小さなテーブル、小型オーディオに本棚代わりのカラーボックスとシンプルなインテリアだった。


ママがインテリア会社に勤めていたから、癖でチェックしてしまう。


「ふ〜ん…片付いてるね」


「そう?物がないだけだじゃん。コーヒーでいいか?」


「あっ、うん。ありがとう」


端的に答えた清水はインスタントじゃなく、レギュラーでコーヒーを淹れ始めた。

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