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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

一口飲むと、豆の味が引き立って上品な味が口の中に広がる。


お…美味しい。


悔しいけどコーヒーは凄く美味しかった。


直ぐに悪態をついてくる、この清水が淹れたとは思えないくらいだ。


カップに口を付けながら横目で清水を見やると、私の反応なんか気にせずにケーキの箱を開けていた。


おいおいおい!
初めて来た女の子に手間かけてコーヒーをドリップしたのに、反応気にしないんかい!?


やっぱり清水の中で私って、ただの暇つぶし相手にしかされてない気がする。


眉間を寄せてコーヒーを啜っていると、清水はテーブルにティッシュを敷き、その上に私がチョイスしたショートケーキを置いた。


「ほら、お前の分」


「え…うん。お皿とかないの?」


「お前のカップに入ってるから要らないだろ。俺はこれ使うし」


そう言って清水はケーキボックスの角を割いて、自分のモンブランの皿代わりに使い始める。


おいおいおいおぉぉい!
今日って一応デートじゃないの?


いきなり所帯染みたことしちゃうんかい!


せっかく美味しいコーヒーを淹れてくれたのに…


清水の緊張感のなさに、ムードもへったくれもなかった。

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