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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

「ふぐぅ〜!」


口の中には甘酸っぱくてジュシーなストロベリーの味ではなくて、明らかに『栗』――――


マロン味だった。


不意打ちでいきなりスプーンを口に突っ込むなんて危ないじゃないの!!


「ちょっとね〜!」


「なっ!美味いだろ?」


頭にキテ怒鳴ろうと思ったのに、清水は楽しそうに笑っている。


それがまたいつもの憎たらしい不敵な笑みとは違って、年相応の若者らしい笑顔だったもんだから、なんだか拍子抜けしてしまう。


「う、うん…。美味しい」


「もう一口食うか?」


珍しく優しい態度に戸惑いつつ、ここは遠慮しておく。


「ありがとう…でも自分の分なくなっちゃうから食べなよ」


取り繕いではなく本音で言ったつもりだが、清水はさっきよりも多めにスプーンに持って私の口元へ運んできた。


「ほら、あ〜ん!」


「ちょっ…」


またしても『あ〜ん』か!


私の中ではパパだけの専売特許なのに!


「いいよ…ひゃぁ!」


意地でも食べまいと顔を背けようとしたら、素早く顎と下唇を一緒に掴まれて


「開けな…口」


凄く色っぽい目付きで見詰めてきた――――。

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