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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

「はぁ……ぁ…」


口から呼吸が出来るようになったけど、上手く息が吸えない…。


まだ鼻先にある清水の顔は、妙に色っぽくて――――

切なそうだった。


そんな清水を呆然と見上げていると、涙で視界が歪んでくる。


どうしよう――――

このまましちゃうのかな…。


お互い様子を伺うように、見詰め合っていると――――


清水の指が動いて…


「今日は…ここまでだ…」


目尻に溜まった涙を拭ってきた。


「え…しないの?」


このまま料理されちゃうんだと思っていたから反射的に口を衝いてしまうと、清水の口端が上がって不敵に笑われる。


「何?したいなら良いけど。せっかくだからじっくり楽しむのも悪くないと思ってな」


「なっ!酷っ……ぃ…」


意地悪な清水の言葉に怒りが混み上がりかけたけど――――


涙を拭う指先と、頬を包む手のひらの感触は…


凄く優しかった。

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