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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

ムカつく! ムカつく!!
頭っくるぅぅぅ~!!


清水への怒りを思いっきり露わにして、嫌味ったらしく押し付けられたラッコを握ったまま、ひたすら歩いた。


行き違う人たちが、怪訝な顔で私を見ていく。


それはラッコを持っているから……


じゃない。


「ふぅ……ひっく……清水の…バカァァァァ」


目から大量の涙を流しているから――――。


初めてのキスだって……
初めてのデートだって……


理想があったのに!!


私だってパパと付き合えないことくらい分かっている。


だからこそもし、初めて『彼氏』が出来た時は、大好きな気持ちで一つずつ幸せな思い出を作りたかったのに……


唇も!
思い出も!!


全部強引に奪われた。


「ひぃっくぅ……清水なんか大嫌いだ」


恨みつらみを込めて悔しい気持ちを吐き出すと、道の先にコンビニがあってゴミ箱が視界に止まる。


吸い寄せられるように近寄って行き、ゴミ箱の前で立ち止まった。

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