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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「あいつに聞いても、絶対本音なんか言わない気がする……」


いつも余裕ぶって厭味ったらしく笑っている顔が頭にチラつく。


本当に何考えているのか解らない――――

でも時たま、優しかったりするから困惑する。


何より清水のことを考えると、胸の中がザワザワして落ち着かないのが一番嫌だった。


怒っているのか泣いているのかみたいな顔をしている私に、桜は頬杖をついてジッと見詰めてきて――――


「そうだね。今のところ、それは確かかも……でもさ風香自身の気持ちはどうなの?」


意味不敬な質問をしてきた。


「へ……どういう意味?」


「いやさぁ~。風香、清水くんのこと悪く言うけど案外満更でもないんじゃないかなって思うんだよね?」


長い付き合いをしてきた親友が、今までになく変なことを言っている。


「マンザラって……どこの国の皿?」


本気で聞き返した私の頭に、指を真っ直ぐ伸ばした桜の手刀が落ちてきた。

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