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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「天然にも程があるでしょ! パパさんなら許せるけど、風香だとイラッとするわ!」


「ひ、酷いよ桜~! 本気でチョップしたでしょ」


「ふふん。私はいつも本気よ」


「こんな暴力的な本気は、止めてよ~」


思いのほか手刀は効いていて、叩かれた部分を擦りながら桜を睨み付けると、当の本人は何もなかったようにその手で頬杖をついた。


そして桜は急に神妙な面持ちで、声を潜めて話を続ける。


「風香……ボケはいいからさ。心の準備しておいた方が良いと思うよ」


「心の準備? もしかして……」


ドックン――――!

嫌な予感が、胸を衝く。


桜が真剣な顔で、頷いた。


それって、もしかして――――


「清水を好きな子が、攻め込んでくるってこと?」
「清水くんに、惚れるかもよ」


お互い発した声は絶妙に重なったが、意見は全然違った。


桜の言葉に、途端歌舞伎役者並みに顔を歪ませる。


「はぁぁぁ~!? 何言ってんの? ブラックジョークでも質が悪すぎるわよ!」


昔からの信頼できる大親友に、まさか絶対あり得ないことを言われるなんて――――

凄く心外だ。

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