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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「あんたちょっと綺麗だと思って生意気よ!」
「突然、現れて何してくれんのよ!」
「ネコババしてんじゃないわよ!」
「すっごい我儘の自己中って聞いてるわよ!」
「この尻軽女! あんなたみたいなのが居ると、迷惑なのよ!」


なななな??
一斉に言われて、聞き取れないんですけど――――!

聖徳太子じゃないんだから、一人一人順番に言ってよ~。
てか聖徳太子って、同時に十人くらいの話を聞き取れたんだよね?

それってマジ凄いんですけど!!
今日からリスペクトしちゃうよ――――。


明らかに多勢に無勢で理不尽な状況なのに、聖徳太子への尊敬の念に浸ってしまいそうな自分が居た。


「ちょっと、聞いてんのっ!」

「え、はい?」


彼女たちの声を拾えなくて、ボケ~としていた私が余計に癪に障ったのか、一人が切れたように大声で叫んだ。


そしてその子に合わせて、他の子たちの眼光が更に鋭くなる。


参ったな~早く帰りたいのに――――。


そんな気持ちだけが、先に立ってしまう。


「えっと……一気に言われても分からないし、何が原因で私をここに連れてきたのか先ず理由を言ってくれないかな?」


普段は私も感情的になる方だけど、こんな風に一方的に感情を剝き出しにされると、案外冷静になれるものなんだな。


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