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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「そんなの知ったこっちゃないわよ! この大学で好きな男子なんていないし! 誰と誰が付き合おうが、私には関係ないんだから!」


思いっきり目を吊り上げて大声で怒鳴ると、女子たちは一瞬固まった。


よし、このままこの場を去ろう!


このチャンスを逃すまいと、大きく足を踏み出そうとした瞬間――――

「じゃぁ、何で清水君と付き合ってるのよ!」

私を取り囲んでいる女子全員が、声をハモらせて一斉に叫んだ。


これには流石に聞き捨てならなくて、逃げようとした足も踏み止まる。


「は? 付き合ってないわよ!」


むしろもう、出来るだけ関わりたくない。

あいつのせいで、どんだけ迷惑を被っているか言ってやりたいくらいだ。


だけど彼女たちにはそんなこと伝わりそうにない上に、更に怒りをむき出してきた。


「嘘言わないでよ! 公然の面前でキスしてたじゃない!」

「あれは勝手に、あいつがしてきただけよ! それまで存在すら知らなかったもの!」


負けじと応戦する。


男子相手ならお祖母ちゃん秘伝の護身術も使えるけど、女子に乱暴は振るえないから口で戦うしかない。


「じゃぁなんで、こないだの土曜日。清水くんと一緒に出掛けていたのよ!」

「……へ?」


――――見られた!!
世間、狭すぎでしょ!

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