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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

あぁぁ~! こういう場合、なんて言えば良いんだろう。


正直に『強制連行』されたと言っても、信じてくれないだろう。


てか、何言ってもいちゃもんを付けてくるに違いない――――。


あいつのせいで、本当にいい迷惑だ!


「嫌がらせよ!」


腹が立って、つい口走ってしまったが、こんな言葉で彼女たちの怒りが収束する訳もなく、ますますヒステリックになる。


「はぁ~? 意味わからないんですけど~!」

「嫌がらせで一緒に出掛けるっておかしいでしょ!」


で~す~よ~ねぇ~。


自分で言っておいて、心の中で賛同してしまう。


どうしようもなくて視線を泳がすと、女人壁の先に戸惑いながらこっちを見ている女子が一名いた。


ゆるふわ系と言う言葉がぴったりな、可愛らしい女子だ。


私の視線に気づいた女子が、振り返る――――。


「絢乃! 来ちゃったの!」

「あ……皆が心配で……」


『アヤノ』と呼ばれた女子は口元に指先を当てながら、おずおずと私たちの所に近づいてきた。


これで少しは風向きが変わるかも――――なんてことは、ない。


むしろもっと状況は悪くなっていく――――。


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