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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「絢乃! 泣かないで!」
「絢乃は悪くないよ!」
「そうだよ。悪いのはこの女なんだから!」

わぁぁぁ――――出た! 
勝手に悪者を作って妙な仲間意識で徒党を組む作戦!

それも理由は分からないけど、泣き出す人が出たら、全力で私を悪者にしてくるんだ。

この流れからアヤノって子のために、このいちゃもん軍団が結成されているようだけど、清水がどう絡むのよ!


恋愛の機微に疎い私は、この状況が理不尽極まりなかった。


「あの~盛り上がっている所申し訳ないんですが~。彼女が泣いたら、何で私が悪いになっているんでしょうか?」


かなり面倒臭くなって、直球で聞いてみると――――囲っている女子全員に、凄い勢いで睨まれた。


ひぃ! 怖っ!


「本当にムカつく、こいつ!」
「何様なのよ!」


女子たちの私への暴言は、更にエスカレートしていきそうだ。


だけどこれで、怯んでたまるか!


「ハッキリ言わせてもらうけど、ここに呼び出される理由も、あの子が泣いている理由も、私には全くもって分かりません!」


般若になったくらいの気持ちで、こっちも睨み返した――――ら、

「絢乃は清水くんのこと、ずっと好きだったんだから!」

女子軍団の一人が、顔を真っ赤にして怒鳴り返してきた。

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