テキストサイズ

ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

なっ! その溜息は、なんなのよ――――!


嫌な予感しかしない。


次に清水がどう出るか、思いっきり警戒して身構える。


清水は私の腕を掴んだまま、女子たちの方に向き直すと大きな声で言い放った。


「俺はあんたたちが何を勘違いしているか知らないし、勘違いさせるような思わせぶりな態度を取った覚えもない。それと俺、こいつとちゃんと付き合っているから、二度とこういうことすんなよ!」

「え……」


――――誤解を解くどころか、肯定してしまった!


「ちょ、清水……なに、言って……」

「ほら! もういいだろ。行くぞ!」

「え、えぇぇぇ!?」


清水に怒鳴られた女子たちは、誰一人言い返すことも出来ないまま立ち尽くしている。


困惑している私を清水は、容赦無用で引っ張っていく。


その間、私はパニック状態の頭で、清水が女子たちに言ったことを整理しようとした。


結局あの女子たちは清水の何なのさ?

ファンクラブか何か? 

いやいや、こいつにそんな甲斐性ないでしょう!

だから勘違いする必要はないし、清水自身も思わせぶりなことしていないって言ってたし――――じゃ、なくて!

単純に、私と付き合っていないって言えば良かったことじゃないの?

なんでそれをあんなにはっきりと、公認にしちゃったのよ――――!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ