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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

脳みそがキャパオーバーして、思考回路がショートする。


口から魂が、半分出そうだ。


引っ張られるまま歩いていると、牽引していた清水の歩みが急に止まった。


呆然としていた私はいきなり止まった清水の動きに気付くことなく、そのまま清水に突進してしまう。


「ひゃっ!」


突如ぶつかった清水の壁と痛みに驚いて、リバウンドするように勢いよく離れようとしたが、清水が素早く振り返る――――。


「えっ!」


それは、一瞬の出来事だった。


背中に清水の腕が巻き付いてきて、鼻先には清水の服が触れている。


そして――――


「……ごめん」


頭上で、清水の声が微かに響いた。


え――――何が起きているの?


抱き締められていることも、謝られていることも、自分に起きていることが咄嗟に理解が出来ない。


ただジワジワと伝わってくる清水の温度に、さっきまでの緊張が解け始めるかのように、広がり出す安堵感と共に全身から力が抜けていく。


「なにが……ごめんよ。結局、誤解されたままじゃないの……」

「あぁ……そういえばそうだな」

「そういえば……?」


清水の言い方に、少し違和感を覚えると――――


「お前が、ビッチじゃないって否定し忘れた。まだバージンなのにビッチ扱いは流石に不本意だよな」

「へ……」


誤解って、そのことなのぉぉぉ――――!!


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