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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

いつもなら言い返しているところだけど、一気に色々あり過ぎて言い返す気力もない。


それより、本当の誤解の方を作り上げた清水の狙いを知りたかった。


「別にそれは良いわよ……。それよりなんで付き合ってるなんて言っちゃったのよ」

「え、付き合ってんだから言ってもおかしくないだろ?」

「は?」


こいつ、どうして私が女子に囲まれることになったか、根本的に分かっていないんだ。


ちゃんと説明して、もう一回あの子たちに説明させよう。


「あのさ……さっきの女子たちの中に、あんたのこと好きな子がいたよね。告白されたんでしょ?」

「あぁ……そう言えば三人くらいいたかもな」

「さっ……三人!?」


告白したの『アヤノ』ちゃん一人じゃなかったんだ――――。


じゃぁ他の二人はアヤノちゃんに内緒で、便乗して私を責めに来たってこと?


――――乙女心、ややこしいな!


私が衝撃の惑星に飛ばされて愕然としているのに、事の発端の清水は呑気に言い放ったてきた。


「それがどうした? 全員ちゃんと断ったけど」

「そ、そういう問題じゃないわよ。あぁもう~帰る! 離してよ!」


一人になってゆっくり考えたい。
こいつと話していても埒が明かない!

何より、気持ちが落ち着かない。


清水の腕を解きたくて身体を動かしてジタバタしたが、腕の力は緩むどころか、ますます力が込められる。

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