テキストサイズ

ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

こいつ――――まぁよくもペラペラと都合よく理由付けたわね。

何より、このいい子ちゃんぶっている態度が、気に食わない!


「ママ、違うの! この人は……」

「あら桜ちゃんが! それはわざわざ、すみません。良かったらお茶でも飲んでってください」


しまったぁぁぁ――――! 

桜は家に何回も遊びに来てるし、家族も同然の付き合いだから信頼度が抜群だ。

まさか桜の名前をこんな形で使うなんて、何て卑怯な!


思いっきり睨み付けたけど、清水はこっちのことなんかお構いなしに、今まで見たことがないような笑顔をママに向ける。


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えまして……」

「はい、はい、どうぞ~! 風香、スリッパ出してね」


ご機嫌で招き入れるママの態度に清水は『どや!』と言わんばかりの顔を私に見せ、無駄のない動きで靴を脱いで、すんなりと我家の侵入を果たしたのであった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ