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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

キッチンには夕飯で残った肉じゃがと――――揚げて置いたであろう、アボカドとエビの天ぷらが用意されている。


あぁぁぁ――――ママ、大好きなアボカドとエビを揚げていたんだ!

てか、これあいつに食べさせちゃうの、勿体ないんですけど!


うどんのみならず、自分の好物までも清水に奪い取られる悔しさが、沸々と更に煮え滾る。


「お待たせしました……」


怒りの余り思いっきり仏頂面でおかずを置いたが、ママは満面の笑顔で清水に勧めていく。


「昨日の残りものなんだけど」

「ありがとうございます。突然押しかけたのに、ここまでして頂いてすみません」


清水は卒のない笑顔をママに向けて、いい子ちゃんぶっている。


いつまで化けの皮を被り続けるのだろう。


だけどママは、そんな清水をすっかり信用しきってしまっていた。


「ううん、賑やかなお昼になって嬉しいわ」

「そう言って頂けると、自分も嬉しいです。今一人暮らしだから、こういう風に食卓囲むのも久しぶりですし」


へぇ~へぇ~そうですかぁ~。

急にお涙頂戴まで盛り込んできて、どこまでしたたかな奴なんだろ。

まぁそれより、私はアボカドとえび天をゲットしておこう。


二人の会話に内心いちゃもんを付けながら、私は取り皿に好物のアボカド天とえび天をいそいそと載せた。


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