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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

こ、これは…
昔からあるけど、何故か最近流行りの

『壁ドン!』

ってぇ、ヤツ?


パパにされたらウットリだけど、憎い相手にされたら腹ただしいだけだ。


「なによ…またキスでもするの?」


自棄気味で睨み付けると、清水は頭一個分上から目を細めてジッと見下ろしていて、特に言い返してこない。


「ちょっと…何か言いなさいよ」


そう言っても清水はひたすら無言で、ガン見してくる。


う…こういう時…
どうすればいいんだろ?


パパ以外の異性に免疫がない私は、ただ見詰めてくる清水の視線に絡め取られる様に固まっていた。


「なにか……言って…」


約20センチ。


ついこないだまで存在すら知らなかった人物が、今更鼻先20センチの距離にいる。


ドッキン…ドッキン…


緊張からか、脈が早まってきた。


どれくらい時間が経ったのか分からなくなってくる。


こいつが言わないなら、私がなんか…言わないと。


「お昼…終わっちゃ…ぅ…」


やっと声を絞り出した瞬間…


清水は傾けた顔を近付けてきた。

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