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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

途端、清水は身体を離して不敵な笑みを浮かべ


「よっし。良い子だ」


ポン!ポン!と、私の頭で二回手を弾ませた。


「なんっ!良い子って?」


なんか子供扱いされたみたいで、悔しくなる。


触れられた頭の天辺に手を当てて、清水を睨んだけど


「さて、午後の講義行くか」


校内の方を見ている横顔は、何事もなかったかの様に涼しげだった。


結局コイツは、帰りの約束をするためだけに、『壁ドン』をしたのか!?


口を半開きにして唖然と立ち尽くしている私を放ったらかして、清水はとっとと建物の中に戻って行く。


普段なら心地が良い筈の微風が頬を撫でて行ったけど、胸の奥は嵐の前の森みたいにザワ付いて、落ち着かない。


「わっけ解らない…」


この先も清水に振り回されるなんて、ゴメンだ!
私の平和な日常を取り返すんだ!


今日の帰りで、グッバイ!アディオス!してやる〜!


頬に掛かった髪を乱暴に払って、清水の背中を穴が空けるくらい、睨み付けた。

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