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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

ドックン!


妙に真剣な顔の清水に、今度は心臓が跳ねたみたいになった。


走ったせいなのか息苦しさが倍増して喉が痛い。


「逃げてない…」


「はぁ〜?いきなり走って行ったら逃げたと思うだろ!」


「逃げてないわよ!嫌だっただけよ!」


そう…私はアンタが嫌いだ。


勝手に人のファーストキスまで奪って、訳の分からない行動してきて…


なのに…


「おい…何でそんなに泣いてんだよ?泣くほど俺が嫌なのか?」


「ヒック…泣いてない…フック…嫌いよ…」


なのに…

何だか無性に悲しかった。


清水に泣き顔を見られた瞬間、糸が切れた様に一気に涙が溢れ出す。


「嫌い…大…嫌い…ヒック…」


突然泣きじゃくる私に、嫌味な清水は呆れるに違いない。


「はぁ…たく…子供みたいだな…」


ほら…思った通りだ。


「グッス…馬鹿にするなら…え…?」


言い返してやろうとしたら…

清水は胸の中に私の顔を埋めさせ、背中に回した手でポンポンと優しく撫でてきた。


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