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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

そうそれは…


『セカンド・キッス』


またしてもあっさりと奪われて、愕然としてしまう。


清水は頬から手をどかして、目を見開いて固まっている私の顔を覗き込んできて


「なに固まってんの?」


意味深に笑いを向けてくる。


「…………」


言ってやりたいことは山ほどあるけど、思考がバグって頭と身体が繋がらない感じだ。


小刻みに震えて直立したままの私に、清水は余裕な態度で見下ろしてくる。


「家まで送ろうか?」


はい…?
他にもっとなにか言うことあるんじゃないの?


清水の行動が読めなさ過ぎて、頭の中はバグを通り越してショートしそうだ。


「いい…一人で帰る」


とにかく今は一人になりたい。


帰省本能だけを発動させて、フラフラと駅に向かっていく。


「おい!気を付けて帰れよ!」


心許なく歩く私の背中に清水は声を掛けてきたが、耳の奥が膨張しているみたいで、凄く遠くに聞こえた。

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