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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

手から滑り落ちるトートバッグを床に無造作に置いて、ベッドに倒れ込むように寝っ転がる。


「初めてだけじゃなく…二回目まで簡単に奪われた…」


悔しいけどショックが大きくて、涙も出ない。


それに学食で初めてされたキスより、今日軽く触れたセカンドキスの方が、妙に唇に感触が残っている。


「もうぅぅぅ~ヤダヤダァ~!」


清水の痕跡を消したくて、手の甲で何度も唇を擦る。


だけど逆に感覚が蘇って、その度に頭がクラクラした。


霞む目で天井を見上げると、清水の不敵な笑顔が浮かび上がる。


『最終目的はロストバージン』


ゾゾゾゾォ~!


着実に目的を成していく清水に、背筋に寒気が走った。


「なんで…なんで私なのよぉ」


ただ偶然街で出会って、パパに宜しく言われたくらいで、普通ここまでするものだろうか?


そういえば…
清水は元々、私を知っていた…。


疑問は沢山あるはずだけど、この時の私には目の前のことでいっぱいいっぱいで…


ただ『セカンド・キス』は汗か涙か…

ちょっとしょっぱい味がした。

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