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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

「な、何よっ!?」


やっぱりお金が欲しくなって、むしり取る気かと思いきや!


「水族館行かね?上にあるだろ」


「はぁ~?水族館!ってちょっと~!」


私の返事も聞かずに清水は手を引っ張って歩き出す。


帰ろうと思っていた私は戸惑って、足がもつれそうになった。


それでもお構いなしで歩いて行く清水の背中が恨めしい。


いつも有無言わさず強引だけど、少しくらい私の意思も確認しなさいよ!


「清水くん!私、帰る!」


声を振り絞るように必要最低限だけを告げると


「水族館、行きたくねぇ?」


清水はようやく振り向いた。


「え…行きたく…なくはないけど…」


あんたとは行きたくないわ!


続けたい言葉を飲み込んだけど、清水は口端を上げて不敵に笑う。


「そっ!じゃ行くぞ」


おいおいっ!
この微妙なニュアンスを読んでよぉぉぉ!!


私の心の叫びなど届く訳もなく、手をガッチリ握られたまま水族館まで連行されて行ったのだった。

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