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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

その後は無言になってしまった私に気にした様子もなく、清水はシレッとしてしている。


ビルから出て駅に着く間が、やたら長く感じた。


鬱陶しいくらいの人波が、今は却って虚しい気持ちを掻き消してくれかのようにすら思える。


「じゃぁ…もうここで…今日はどうも」


清水と目を合わせないように俯きかげんで、一言挨拶して改札に向かおうとしたら――――


「おい!まだ俺の行きたい所に行ってない」


目を細めて、また手を掴んできた。


「えっ!水族館に行ったじゃん!」


「水族館はお前の行きたかったビルの中にあったからだ。いいから次行くぞ」


無茶苦茶な理由を付けられて、私を引っ張って歩き出す。


な…なんて『俺様』なの!?

今日はまた一段とマイウェイ過ぎるんですけど!


何を言っても私の意思なんて無視される気がして、半分諦めて清水に付いていく。


余りの傍若無人ぶりに腹ただしく思ったけど、力強く握られた手の感触は嫌じゃなかった。


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