テキストサイズ

ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

電車に乗り込み20分程で、清水の目的地の駅に到着した。


駅を出ると、そんな栄えている雰囲気でもない。


「清水くん…ここに何があるの?」


怪訝に聞くと


「あそこのケーキ屋が上手いんだ」


「えっ!ケーキ?」


思わずケーキに反応してしまい、そんな私に清水がいつもの不敵な笑みを浮かべる。


うっ…
やっぱり食い意地張ってると思われたかも。


悔しくて無意識に繋いだままの手に力を入れると――――


ギュ…


清水が軽く握り返してきた。


「っ!!」


「ほら、行くぞ!」


「わっ!待ってよ〜!」


驚いて見上げた私に意味深に笑った清水は、再びケーキ屋へと私を引き摺っていく。


そんなにここのケーキを食べたかったのかな?

男一人で買うのが恥ずかしいから、私をダミーにして買う気なのかも!?


手を引っ張る清水の背中を見ながら、真剣に考える。


電車の中でも清水は手を握ったままだったから――――


そう思ってしまったら、妙に頷けてしまったのだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ